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BESのアルバムをREMIXした<BR>16FLIPが制作から完成までを語る
UPDATE: 2017.09.22

BESのアルバムをREMIXした
16FLIPが制作から完成までを語る

SWANKY SWIPEとSCARSの活動で知られるラッパー、BES。昨年、獄中からリリースした2ndアルバム【Untitled】を経てシーンに舞い戻り、その後DJ GEORGEとのコラボレーションMIX CD【BES ILL LOUNGE: THE MIX vol.2】を発表するなど、失った時間を取り戻すかのように精力的な活動を見せる。そして、完全復帰作として今年3月にリリースされた3rdアルバム【THE KISS OF LIFE】。今までと変わらないドープさを感じさせながらも、どこか新しい一面も垣間見えた作品に仕上がっていた。そんなヘッズたちが待ちわび、聴き込んでいるアルバムをMONJU・SICKTEAM・DOWN NORTH CAMPのラッパーであり東京HIPHOPシーンのキーパーソンともいえるISSUGIがビートメイカーとしての別名、16FLIP名義でフルREMIX。往年の盟友である2人がREMIXアルバムというHIPHOPならではの表現方法で共演し、互いの才能が1枚の上でクロスオーバーさせたジョイント作は、瞬く間にストリートで話題となった。そこで今回は特別に16FLIPを招いてインタビューを敢行。【THE KISS OF LIFE】とは違った表情を見せたREMIXアルバム【The Definition of This Word】をビートメイカー16FLIPの視点で話してもらった。

 

——今回のREMIXアルバムはどういう経緯で制作に至ったんですか?
16FLIP「BESが電話してきて、【THE KISS OF LIFE】のREMIXアルバムを出すことになったからやってくれっていわれて。それで『お〜おもしろそうっすね』って即答でやることになりました」。

——どれくらいの制作期間で完成しましたか?
16FLIP「3ヶ月くらいですね」。

——じゃあ、【THE KISS OF LIFE】のリリース直後に話があったんですね。
16FLIP「そうですね。ちょうどいいくらいの期間で作れたかなって思っています。最初はゼロなんでドンドン作っていけるんですけど、残り3曲とかになってくると、こういうビートが入らないとまとまらないな、って頭で考えちゃって。今回は8割くらいを1ヵ月から1ヵ月半でバーーーって作ったんですけど、最後のビートが決まらなかったんですよね。それで、後半1ヵ月くらいなんにもやっていない時期もあったり(笑)。最後にコレをハメたら完成かなっていうビートができて出来上がりました」。

——1ヵ月くらい空けたっていうのも、いい効果があったのかもしれないですね。
16FLIP「ハマるのを待つ期間というか、このREMIXアルバムのことを何も考えずに他のビートを作っているうちに、『あ、コレREMIXアルバムにハマるかもしれない』ってひらめきました」。

——16FLIP VS BESとなっていますが、16FLIPさんが2007年にSEEDAさんのアルバム【花と雨】をREMIXしたアルバム【Roots & Buds】を思い出しました。この“VS”に込められている意味は?
16FLIP「特にないんですけど(笑)。なんかこういうタイトルの付け方って最近あんまりないし、自分の中ではMIXテープみたいなノリでもあるんですよね。ブートではないけど、もともとあるものに対してビートがまったく変わってリリースするって形式が自分の中で“VS”っぽいかなって思ってつけました」。

——このREMIXアルバム【The Definition of This Word】にテーマやコンセプトはありますか?
16FLIP「やっぱりオリジナルと違って、全部のビートを自分ひとりでやっているので、1枚としてキッチリまとめたいっていうのは考えていました」。

——ビートはすべて16FLIPさん側から提案したものですか? それともBESさんと一緒に決めましたか?
16FLIP「これは全部自分側で決めて作業しました」。

——そのビートはストックから選びましたか?
16FLIP「3分の1くらいはもともとあるやつを使ったんですけど、他は新しく作ったりしたのでいろんな時期のビートが混ざっています」。

——新しくビートを作る上で、意識した点はありますか?
16FLIP「BESのフロウのタイミングをビートにばっちりハメたいって思っていました。あとは最近ビートメイクする時の機材で、ableton liveとかmaschineで作る事も増えたので実質このREMIXアルバムはMPCで作ったヤツとabletonのとmaschineのやつと3種類混ざってるんですよね。なのでアルバム聴いた時に特定のビートが浮かないでいい感じに1枚に馴染ませたいと思ってましたね」。

——トラックリストの順番も変わっていましたね。
16FLIP「はい、それも全部自分で決めました」。

——曲順が変わっていますが、意識した点はありますか?
16FLIP「このREMIXアルバムに限らず自分のアルバムを作るときは大体そうなんですけど、作っているうちに順番が自然と頭の中で決まっていきます。特にリリックがこうだからココにいれたいとかじゃなくて、ビートを聴いた感じで流れができるんですよ」。

16FLIP1

——撮り直した曲もありますか?
16FLIP「自分(ISSUGI)が1曲だけラップを追加で乗せているものがあるので、それだけ改めて録ったけど、他はオリジナルアルバムのアカペラをそのまま使っています」。

——その曲(《16FLIP VS BES 7 FEAT.ISSUGI》)は、オリジナルアルバムのほうも16FLIPさんが作ったビートで、REMIXでも同じビートを使っていましたね。
16FLIP「【THE KISS OF LIFE】の制作段階で、フィーチャリングしてほしいっていわれていたんですけど、ちょっとタイミングが合わなくて実現しなかったんですよ。で、REMIXをやらせてもらえることになったので、ビートは変わっていないけどラップが追加されているREMIX曲が入っていてもいいのかなって思ってやってみた感じです。HIPHOPのREMIXって結構そういうのあると思うし、自分がそういうのに遭遇した時おもしろいなと思っていたので」。

——オリジナルの【THE KISS OF LIFE】では《2 Kind》の他に《Ruff&Tough》も16FLIPさんがビートを手掛けていて、REMIXのほうでは両方とも曲順が変わらずに連続していました。
16FLIP「あー確かにそうっすね! 特に意識してなくて流れ的に偶然ハマったって感じです」。

——『Ruff&Tough』が《16FLIP VS BES 8 (DUB VERSION)》でビートのみになっていましたね。
16FLIP「そうですね。このビートはレゲエをサンプリングしていてそういう意識があったからラップを全部取り除いて、ルーツ・レゲエにあるようなダブバージョンとして入れてみました。BESはレゲエのカラーも持っているラッパーだと思うので、遊び的な意味でハマるかなって思って。cro-magnonってバンドのPAに、Jくんってアナログの機材でディレイとかリバーブを飛ばせる人がいるんですよ。その人にダブ処理を自由に遊んでもらって最終的に自分でEDITしたビートなんですよね。Lee perryの当時のディレイとかリバーヴの掛け方とか『当時こうやってたくさいよ』って教えてもらったけど、Lee perryのやり方が乱暴すぎて超面白かったですね。アルミの缶の中に音一回通してそれに蹴り入れて振動させて音を飛ばすみたいな感じで(笑)」。

——16FLIPさん自身はレゲエをよく聴かれますか?
16FLIP「はい。でも全部のレゲエが好きかって聞かれると分かんないですけど、レゲエは好きです。ルーツやダブに限らず、渋いレゲエが好きですね。ベースの音量とウネリが好きです」。

——このREMIXのためにビートを新しく作る際、サンプリングの元ネタを選んだ基準はありますか?
16FLIP「基本的にBESのREMIXを作るから、こういうビートを作ろうって考えたワケじゃないんですよね。でもBESのラップってソウルフルなビートが合うんじゃないかって俺は思っていて。だからそういうテイストのビートは多くなったかなって思います。自分は狙ってこういうビートとか作れないんで、ひたすら直感ですね」。

——その中でも、特に印象に残っているビートはありますか?
16FLIP「6曲目はインストだけど結構好きですね。メロウだけどエッジがある感じで。確か大阪かどっかに行く新幹線の中で仙人掌とMr.PUGが横に座ってる中で作ってました(笑)。ビートの名前もShinkansenでしたね、最初は。これは自分がやってる番組の【7inctree】でsampleネタを応募して、そのsampleを使ってビートメイクするっていうのを生放送でやったんですよね、buda君と。それで番組時に使い切れなかったけど皆おもしろいの送ってきてくれたんで後々使いたいなと思っててこういうのが出来ました。この場を借りてあの時送ってくれた皆にありがとうと伝えたいっす。自分の中でこのアルバムはハードすぎずにメロウなビートも入れたいって気持ちが制作のときからありました。全体的にハードなビートだけだと苦しいかなって思っていたので。メロウな部分もBESのラップに合うし、そういう面も出せたらなイイなって思って作りました」。

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——1曲目と15曲目で同じ曲《ピキペキガリガリ》をREMIXしていましたが、なぜ2曲で使ったんですか?
16FLIP「REMIXの15曲目はボーナスって書いてあるくらいなので、番外編って思ってもらってよかったんですけど、はじまりと終わりを同じ曲にしてアルバム全体を挟んでみたら、最後まで通して聴いたときに1曲目と違う印象を与えられたらイイなって思って2曲で使いました」。

——さらに、オリジナルにある《I Wanna Shining》が、REMIXアルバムの5曲目と14曲目でセパレートされていました。
16FLIP「あれはオリジナルの曲がイントロとビートが鳴ってからのBPMが全然違うですよ。だから分けてみようと思って。《I Wanna Shining》はオリジナルアルバムのほうでは1曲目で、そのイントロでラップしている8小節くらいだけがREMIXの5曲目に入っているんですよ。REMIXは曲順を変えるのが自分的におもしろいので、オリジナルアルバムの1曲目をREMIXアルバムでは真ん中くらいに入れてみました。オリジナルを知ってる人ほどおもしろい仕掛けになったかなと思っています」。

——曲名を全部変更しているのも気になりました。
16FLIP「曲名がないと次に何が掛かるか分からないのがいいのかなって思って。あんまり深い意図はないんですけど。次になにが掛かるかわからない良さも音楽を聴く時にはあると思うので。クラブとかDJもそうだし、偶然を大事にしたいんですよね。まあこの作品は一回聴いたら曲順わかっちゃうんですけど(笑)」。

——ちなみにBESさんとの出会いはいつ頃なんですか?
16FLIP「たぶん2002、3年くらいだったと思います。bed(※池袋の老舗クラブ)で出会ったのは覚えています。ライブ見てSWANKY SWIPE(BES,Eishin)のラップに一発でやられました」。

——それから今まで、BESさんにビートを提供したり一緒に曲を作ったりしていますが、BESさんと相性がいいなって思う部分はどこですか?
16FLIP「BESはフロウが大きくてリズムキープが安定してるラッパーなのでビートのグルーヴに新しい角度を作ってくれて活かしてくれますね。俺もBESも、どっちかっていったら土臭い部分があるような音楽性だから、大きく見たらそういうところも合うと思います。あと超HIPHOP好きだし。あとは、おれもソロ、MONJU、SICKTEAMって色々なパターンで曲作ってきて感じたんですけど、単純にバースでいっても誰のあとに誰が出てくるかでグルーヴの聴こえが全然違うんですよね。例えば5lackの後にオレのバースがくるのとBESの後にオレのバースが出てくるのにまた違った魅力があるんですよね。特にフックなしで次のラッパーが出てくる時。最近8曲くらいBESと一緒にレコーディングしたんですけど、BESの後に入ると自分のフロウが今までとまた違った活かされ方をしてるなと感じました」。

——それでは最後に、16FLIPさんとしての今後の展望を教えてください。
16FLIP「そうですね。さっき言ったBESと作ってる曲が溜まったらストリート Mixを2人で出す予定です。あとは何回もいっていますが、MONJUで作りたいと思っています。そこには自分のビートが結構入るはずなので、やりごたえがありそうです。よろしく!」

 

16FLIP2

 

【The Definition of This Word】
16FLIP vs BES
2017年9月6日(水)発売
¥2200
レーベル/Manhattan Recordings

 

—TRACKLIST—
1.16FLIP VS BES 1
2.16FLIP VS BES 2 FEAT.MEGA-G Cut by DJ SHOE
3.16FLIP VS BES 3 FEAT.SHAKU, 仙人掌 Cut by 16FLIP
4.16FLIP VS BES 4
5.16FLIP VS BES 5
6.16FLIP VS BES 6 (INST)
7.16FLIP VS BES 7 FEAT.ISSUGI
8.16FLIP VS BES 8 (DUB VERSION)
9.16FLIP VS BES 9 (INST)
10.16FLIP VS BES 10
11.16FLIP VS BES 11 FEAT.KING104,STICKY
12.16FLIP VS BES 12 FEAT.MICHINO Cut by DJ SHOE
13.16FLIP VS BES 13 FEAT.KNZZ
14.16FLIP VS BES 14
15.16FLIP VS BES 15(BONUS)

 

CD:https://goo.gl/u9dhbu
iTunes:https://goo.gl/DMxg4t

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