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スケートビデオから紐解くSKATEとHIPHOPの出会い -森田貴宏〈後編〉
UPDATE: 2017.03.30

スケートビデオから紐解くSKATEとHIPHOPの出会い -森田貴宏〈後編〉

SKATE&HIPHOPをテーマに特集している本誌より、スケートビデオに造詣が深く、自身も映像作家として活躍するスケートボーダー、森田貴宏氏のインタビュー後編。前編では氏にスケート及び、スケートビデオとの出会いを語ってもらったが、この後編ではさらに深く本題であるスケートビデオとHIPHOPについて迫っていく。

 

前編はこちら“スケートビデオから紐解くSKATEとHIPHOPの出会い -森田貴宏〈前編〉”

photograph Teppei Hori
text Taku Takemura

 

 

良い映像と良い音楽さえあれば 小細工はなくても良いビデオになるから

 

自分たちのルーツにはない 黒人のビートのオシャレさ

 

̶ヘビーメタルからハードロック、 ハードコア、パンクとか聴いていたみたいだけれどHIPHOPは聴きますか?

M:聴くよ。(HIPHOPを聴くまでは)それまではハードコアの精神みたいなのに傾倒していたんだよね。フガジやマイナースレットのイアンマッケイに影響を受けてね。思想的だったし、特殊なメッセージが伝わってきたから。それから90年代初めからHIPHOPを聴くようになって、2000年あたりまではずっと聴いていたね。ドクター・ドレとかウェストコーストからデラソウルとかのイーストコーストまで。ずっとハードコアだったオレをHIPHOPに導いてくれたきっかけはサイプレスヒルだったんだよね。

̶おっ、ソウルアサシンズ!

M:そう、サイプレスヒル、ハウスオブペイン、ファンクドゥービエスト。

̶黒人ではない系ですね。

M:そう、メキシカンの。そのあたりのレコードは買い漁った。流行ったよね。それからもっと渋いのが聴きたくなって、ギャングスターとかイーストコーストのHIPHOPを聴くようになったんだ。ウータンクランもその頃に出てきて衝撃的だった。

̶ウータンの得体の知れない感、半端なかったね。HIPHOPにハマった理由は?

M:自分たちのルーツにはない黒人のビート感。ハードコアの方が自分たちに近いような気がしたけど、黒人たちが作るビート感はオレたちにはまったくなかった。あのオシャレな感じが自分たちには作れないからすごくかっこよかったんだ。ハードコアを聴いていたときはいかに速いかとか、どれだけ高揚感を得られるかみたいな感じで聴いていたんだけど、HIPHOPはもっとディープにはまる感じで、静かなんだけれど自然と体が揺れていくって感じ。時代的にもフリップ系のトリックが流行った時期と重なってね。スケートの動きも変化していったときだった。多くの黒人のスケーターたちがそのバネを生かしたスタイルでHIPHOPをひとつの表現方法として前
に出てきたのもその時代だったと思う。

̶森田くんが初めてHIPHOPをBGMとして使っていることを認識したスケートビデオはなに?

M:アンダーワールド・エレメントのビデオ。中でもジュリアン・ストレンジャーのパートが1番印象に残ってる。ギャングスターのデューイックという曲でナイス&スムースのグレッグナイスがラップしてる曲。超スクラッチが入ってるHIPHOPの曲。しかもそんな曲がジュリアンのパートに使われてたから驚いたね。ジュリアンはそれまでスレイヤーとかのイメージだったから意外だったけど、そのパートは最高だった。で、当然そのレコー ドが欲しくてめちゃくちゃ探したんだけれどみつからなくて、結局友達のDJ に録音してもらって聴いてたよ。

̶そうだったんだ。僕はズーヨークのミックステープだったかな。森田くんにとってスケートボードとHIPHOPの共通点ってなに?

M:ローカリズム。HIPHOPのワードでレペゼン(represent)ってあるでしょ。ラッパーが使っている言葉で「代表」って意味なんだけれど、Qティップが「ニューヨークシティレペゼン」って歌っているのを聴いて、オレたちが当時意固地に中野にこだわってスケートしていたことと凄くリンクした。自分たちが言いたかったことがこの言葉なんだって思って最高に盛り上がったのを覚えてるよ。

̶スケーター、映像作家、アパレル、スケートボードも作っているけれど、これからはどんなことがしていきたい?

M:オレが生きていることで少しでもスケートにとって前進できることがあるのなら、俺はそれをしてスケートボードに恩返しをするまでだね。スポーツやアートとしてだけのスケートボードだけではなく、コミュニケーション方法としての可能性、また救命医療や教育などといった様々な方面に渡って使えることがスケートにはあるんじゃないかと俺は心底思ってる。オレにとってのスケートボードは仏道のように深遠でいて 、 何よりのオレの心の支えだから、その可能性についても常に深遠であり得るんだ。だからさ、精進しまっせ(笑)。

 

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森田氏の活動のひとつでもあるクルージングデッキを制作するFESN laboratory の店内には、さまざまな形にシェイプされたデッキと共に彼が集めてきたVHSのビデオがずらりと並んでいる。

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SKATE

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