DJ KRUSH|Special Interview






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新しいステージの幕を開ける DJ KRUSH
1983年から歩みはじめた彼の軌跡を知りたいの
であれば、2011年9月号に掲載した本誌のイン
ビューを見て欲しい。ここではソロ活動20周年
節目を迎えた2011年、そして待望のアルバムを
めた新しい章に向けて歩み出す2012年のことに
いて語ってもらった。今年50才を迎えるDJクラッシュ、
その挑戦心は未だ衰えず。

photo_Teppei Hori interview&text_ollie

DJ KRUSH PROFILE
日本にまだヒップホップカルチャーが浸透していない1983年から独学でDJをはじめたクラッシュ。1987年にヒップホップグループ”KRUSH POSSE”をMUROらとともに結成するも90年代初頭に解散。それを機に本格的なソロ活動を開始する。ソロ活動20周年を迎える2011年までにミックスCDを含めた16枚のアルバムをリリースするとともに精力的な世界ツアーを行い、これまでに世界49カ国、298都市、延べ400万人以上のオーディエンスを魅了し続けてきた。去年の9月から20周年企画の1つとして毎月新作シングルをデジタル配信する「マンスリー・シングル・プロジェクト」を開始。2012年、その新曲群に続き6年振りとなる9枚目の新作アルバムが世界中から期待されている。


Special Interview

『これからを見据えていく上でも2012年は本当に勝負の年だね』
※このインタビューは2011年12月5日行われたものです。

ーまずは7月に行われたソロ活動20周年のアニバーサリーパーティの感想ですが、クラッシュさんの骨頂であるBPM80くらいのロービートから、今まであまりかけなかった四つ打ちを展開するなどバラエティーに富んでいましたね。
DJ KRUSH:俺みたいなスタイルの人間が1人で7時間も回すことがあまりないと思うんだけどおもしろかったよ。普段かけない4つ打ちも回せたしね。でも、次の日スゴい疲れた。腰が痛くなっちゃってベッドから起きるのがきつかったよ。

ーそして年内の国内プレイ後、ついに来年頭から本格的に20周年のワールドツアーがはじまりますね。
DJ KRUSH:そうだね。ちょうど昨日まで中国に行ってたんだけど、その中国から20周年ツアーがいよいよはじまっちゃったよ! 年内の国内でのいくつかの公演を挟んで、1月末からヨーロッパを回って、その後すぐに北米とオセアニアのツアーが待ってる。更に、3〜4月はヨーロッパの後半戦も…。春先までは海外ツアーで飛び回り続けるよ。今回はロンドン、パリ、ニューヨークなど大きい街では海外では初となるロングセットもやる予定で、ロンドンでは“COLDCUT”、パリでは“VADIM”と共演することになってるんだ。

ー実は年内にプレイされる千葉県のクラブは、地元に近いのでスゴく楽しみにしています。
DJ KRUSH:千葉県の柏は現場仕事をしているときに行ったことがあるよ。あ、でもDJでもあるかな。柏駅の前にパルコってある?

ー駅前は丸井だけですね。
DJ KRUSH:じゃああれは茨城か。どこか忘れちゃったけど25年くらい前に茨城県にあるパルコ前で営業をやったんだよ。大道芸人が手品をやっている隣で、“BREAKDANCE DJ&RAP”という札を立てられている中で。それこそ“KRUSH POSSE”を組む前の“B FRESH”の時だね。

ーその時はクラブ以外の場所で営業することが多かったんですか?
DJ KRUSH:そうだね。デパートの営業だったり横浜の大道芸人フェスにもでてたよ。早野凡平さんが帽子をフニャーって曲げて芸を見せている隣でやっているから僕らも大道芸人扱い。お客さんも爺さん婆さんだったしね(笑)

ーでは、リスナーが待ち焦がれていた新曲のことを聞いていきたいのですが、音楽流通をデジタル配信にしたのはどうしてでしょうか?
DJ KRUSH:ここ数年はより現場(ライブ)に軸を置いた動きをあえてしてきたところがあるんだ。やっぱり作品のあり方が急激に変わって、俺自身も果たしてどういった形でみんなに届けるのがベストなのか、現場の中でシーンやオーディエンスと直接触れ合うころで色々と再確認したかった。だから、結果的には前作よりかなり時間が空いてしまったりはしたんだけど、その中で、ようやく自分なりに色々な状況や自分自身のやるべきことを冷静に見れる様になってきたと言うか…。ちょうど20周年というタイミングもあって、まずは今のいろんな俺の世界観をまずは多角的に見せたかったから、あえてアルバムって括りにせず、配信というフォーマットを選んで1曲1曲いろんなアプローチで見せていく形にしたんだ。

ーまず配信1作目となる『光風の翼』ですが、これは元々ロシアのアニメ映画『FIRST SQUAD』のサントラ用として作られたものですよね。
DJ KRUSH:そうだね。原曲は2年前に作ったものなんだけど、それをベースに再編集して作り直したんだ。アニメ映画用に作ったからストリングスを使って壮大に仕上げてあるのが特徴で、またこれまでの作風とは音色もアプローチもまったく違うものだから、インパクトを持たせるっていう意味でも、あえて最初にこれを出したんだ。

ーどういう経緯でオファーがあったのですか?
DJ KRUSH:プロデューサーが俺の音に凄く興味を持ってくれていて、どうですかって声をかけられて。ロシアの人なんだけど、わざわざ日本まで会いに来てくれたんだよね。以前に写真家のアラーキーさんのドキュメンタリー映画『ARAKIMENTARI』のサントラを手掛けた時も監督が僕の音を気に入ってくれて、それで声をかけてくれたんだけど、映画関係の仕事はそういう感じで関わることが多いかな。本当に光栄なことだよね。

ー絵があって音を作るのはいつもと逆の作業になりますよね。
DJ KRUSH:いつもと逆だよね。今回は与えられた絵だから、そこから想像力を働かせて広げて音を付けていくってことなんだけど、いつもはまず絵が浮かんできてからそこに色をつけていく…、同じか。ただ絵が、人が作るものなのか、自分の想像したものかどうかの違いだけ。絵に向かって作るから、うん、方法は同じなのかもしれない。

ーそして2作目の『久遠』ですが、これはどのような想いで作られたんですか?
DJ KRUSH:この曲はもともと震災前にすでにベースはできていたんだけど、震災を経て、自分なりに色々と消化した上で、素直に向き合った時に凄く新しい絵が浮かんできて…。それで最終的には、ちょっと柔らかい、暖かみのある未来が見えるものになった。

ークラッシュさんは震災で起きたことを敢えて言葉に出さず、曲で返していると思うのですがサウンドデモに関してはどう思われています?
DJ KRUSH:思ったことを自分で色々考えて、揉んで、どうなんだって結論を出した上での行動なわけだよね。何もしないよりはまず行動を起こすのは俺はいいんじゃないかと思うね。デモの内容はどういうものかわからないし、みんな考えていることが違うから簡単に手を挙げることはできないけれど、“何か”行動を起こすっていうのはいいと思うよ。そういった意味もふまえて俺は曲に気持ちを込めている。

ー12月にリリースされた配信3作目となる『終夜の地平線』はどのような気持ちで作られたんですか?
DJ KRUSH:『久遠』の先に繋がるんだけど、大変なこと、辛いこともたくさんあるけれど各々のペースでいいから、まずは光に向かって前に進む、止まっているわけはいかない、足はすごく重いけれど、みんな少しずつでもいいから、協力しながら進んでいこうよという気持ちがこもってる。

ーダブステップのようなビートが新鮮でした。
DJ KRUSH:ダブステップの重低音が強いビートが好きで、現場でもたまにかけたり聴いたりしているから反映しているかもしれないね。ただまるっきり同じことはしたくなかった。どのテイストを出すにしろ、自分自身のオリジナリティーがそこにないと世界には通用しないからそれは常に注意するようにしている。3曲ともテイストが全然違うから戸惑っている人もいるだろうけど、逆に今回の企画はアルバム単位で共通のコンセプトやテーマを持たせたものではないから、余計に月ごとにいろんなアプローチを見せれる様に意識はしていたりするんだ。この機会にいろんなDJクラッシュの引出しを楽しんでもらえたらって思う。

ーあえてクラッシュさんはダブステップを避けているのかと思い込んでいたんですよ。でも、最近はダブステップ&ドラムンベースオンリーのセットで回していたりするので正直驚いています。テクノセットであったり、より音の幅を広げたミックスをするようになったのは何かきっかけがあったのですか?
DJ KRUSH:これまでも、60分とか90分とかのセットの中に、ダブステップも含めて色々なジャンルのテイストは盛り込んできたし、別にジャンルや流行によって避けたりはしてないよ。かっこいいものはかっこいいし、プレイを通して自分が表現したいと思えば、普通にガンガン掛けちゃってる。でも、耳の肥えた客の中には、セットに5分とか10分とか少しだけ挟み込むダブステップやテクノなんかを、もっとフル尺で聴いてみたいって声もすごく多くもらう様になってきて。確かに俺はヒップホップがルーツのDJだけど、そういったDJが自分なりのアプローチで他ジャンルの音を料理したらそれはそれで面白いんだろうなって思って、それで、最近では実験的にそういうこともしてるんだ。それが1番好きなBPM80〜90のロービートにも影響出てくるだろうしさ。まだまだ自分の殻の中に籠りたくもないし、冒険は常にしていきたいからね。

ーURのジェラルド・ミッチェルと5月に共演された時に、テクノを流しはじめたのを聴いてまさか!?と思ったんですよ。けれどもその驚きも最初だけで、その内に普段のセットと共通する程よい緊張感のあるクラッシュさんならではの空気になっていきました。
DJ KRUSH:テクノといっても、ジャンルで言えばミニマルだったり色々あるけれど、俺は全然詳しくないから選曲する時に単純に格好いいと思うものしかかけてない。ダメなのは全部省いちゃう。知名度やレーベルじゃなくて自分の耳で聴いて格好いいなって思うものしかかけていないから、そういう風に聴こえるのかもね。

ー来る前にYouTubeに上がっていたコペンハーゲンでのDJセットを聴いてきたのですが、まさに今言われた言葉を反映していたようなセットでした。4つ打ちの上にラップが乗ったトラックからブルーハーブの『The Alert』に繋いでいたりしていて。
DJ KRUSH:ミニマルテクノっぽい感じからのかな。多分インストの4つ打ちにメソッドマンのラップを乗せているやつだね。

ー今までリリースされてきたアルバムには、常に新しい手法を取り入れる挑戦心を感じていたんですが、それに比べると今ネット配信でリリースされている曲は助走という気がしているんです。ただ、テクノやダブステップという新しい血をミックスするセットを見て、次のアルバムへの期待度が高まってきました。
DJ KRUSH:今マンスリーでリリースしているものは、もちろんどれも精魂込めて作っているけれど確かに助走というか、序章と言えばそういった位置のものではあるかもね。でも、そうやって今までと違ったテイストを模索しながらリリースしていく中で、すでに格好いいなと思える曲はできあがってきているんだ。それを次のアルバムに反映していければとは思ってる。みんなに刺激を与えるような挑戦心を込めたものを作りたいね。そういうことが好きだしさ。

ー個人的な想いながら次のアルバムは若いアーティストと曲を作って欲しいと思っています。というのは、今ネットである程度の情報を集められることで、コミュニティや年代の狭い中でシーンが収まってしまい、世代間での交流ができていないことを感じる機会が多いので。
DJ KRUSH:その間口は昔から制限してないし、売れてようが売れてまいが格好いいと思った人とはやる。年齢も国籍も関係なく気になる奴がいれば我慢できないと思うんだよね。

ーフライング・ロータスとクラッシュさんが絡んだらスゴいおもしろそうな気がしますね。
DJ KRUSH:おもしろそうだよね、ライブでリズム対決をしてみたり、タンテで上ものだけ任せてもらって、曲作ってもやりがいがあるだろうし。新しい世代でもあの辺のビートは好きだね。

ー最近DJケンセイさんもオーソドックスなヒップホップビートものを作られていているので、その辺の絡みも考えていますか?
DJ KRUSH:ケンセイがビートを作った『禁断の惑星』は凄いイイよね。俺らの入り口に近いあのテイストのものを次のアルバムには入れたいと今は考えているけれど、これから毎月配信していく中でやりたいことが出てくるだろうから、その辺りもこれから煮詰めていくとこ。極端な話、テクノアーティストと曲を作る展開になってもおもしろいと思うしね。

ー最後に、次回のアルバムリリース予定日をおおよそでいいので教えて下さい。待ち望んでいる人が沢山いると思いますので安心させるために。
DJ KRUSH:今進行中のマンスリー・シリーズが来年の夏まで続き、併せて、春先まではワールドツアーを回るんだけど、この一連の流れは去年の7月に行った20周年のアニバーサリーパーティからはじまったものなんだ。だから、1年の周期を経て、ちょうどその頃に次のアルバムに繋がっていく絵が描ければとは考えているよ。20周年という大きな区切りを経て、これからを見据えていく上でも今年は本当に勝負の年だよね。


DJ KRUSH 20TH Anniversary information

Doticon_blk_Right.png Monthly Singleシリーズ第五弾『光路』1/25 ON SALE!

『MONTHLY SINGLE SERIES 01』『光路 – optical path』
(Es.U.Es Corporation)
2012年最初のリリースは斬新さを強調してきた同シリーズ作品群とは一線を画した、シンプルな構成ながらもDJクラッシュらしい繊細な世界感を構築したトラック『光路』。既にセットにも組み込まれ現場でも話題作になっている作品だ。また、同日にはこれまでのマンスリーシングル3曲をまとめた完全限定300枚となるヴァイナルもリリースされるので併せて要チェック!!

Doticon_blk_Right.png Now on sale!

・第1弾 光風の翼 – breathe of wings (Es.U.Es Corporation)
・第2弾 久遠 – far and away (Es.U.Es Corporation)
・第3弾 終夜の地平線 – sleepless horizon (Es.U.Es Corporation)
・第4弾 鉤の手 – phasic swing (Es.U.Es Corporation)
・第5弾 光路 – optical path (Es.U.Es Corporation)

Doticon_blk_Right.png DJ KRUSH 20周年ワールドツアー

1.27(金)@ウィーン WUK
1.28(土)@ロンドン THE HMV FORUM – with,COLDCUT
2.02(木)@ブリュッセルVK club
2.03(金)@アムステルダム KLINCH
2.04(土)@パリLA MACHINE – with,DJ VADIM
2.18(土)@トロント WRONG BAR
2.19(日)@ニューヨーク MUSIC HALL OF WILLAMSBARG
2.21(火)@シカゴ THE MID
2.22(水)@デンバー BLUEBIRD THEATER
2.24(金)@ロサンゼルス THE ROXY
2.25(土)@サンフランシスコ MEZZANINE
2.26(日)@バンクーバー FORTUNE SOUND CLUB
3.01(木)@キャンベラ TRANSIT
3.02(金)@メルボルン BILLBOAD LIVE
3.03(土)@ホバート HOBART FESTIVAL
3.07(水)@バイロンベイ BEACH HOTEL
3.09(金)@シドニー THE BASSMENT
3.10(土)@パース VILLA
3.11(日)@アデレード WOMADELAIDE FESTIVAL
AND MORE…

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