NEWS

“輝くべき人にちゃんと輝いてほしい“<br />大阪ハードコア新生代の旗手、<br />NUMBERNINEが込めた想いを
UPDATE: 2019.09.29

“輝くべき人にちゃんと輝いてほしい“
大阪ハードコア新生代の旗手、
NUMBERNINEが込めた想いを

9/4に1st ALBUM『LIVIN’ GROOVE』をリリースした大阪のハードコアバンドNUMBERNINE。今や全国区のハードコアバンドとして、大阪や関西、若手や中堅といったレッテルにとらわれない支持を集めており、この夏も大阪・東京のハードコアフェスや海外バンドのサポートなどで各地を沸かした。今回のアルバムはバンドが着実にステップを進める中で作られた、力強さとフレッシュ感あふれる仕上がりの快作に。これまでの日本のバンドには感じられなかったようなワールドワイドな魅力に包まれた本作品について、Vo.のKAIとGt,のSakaiに話を聞いた。
Interviewer_Erolin
(BURNING SIGN, NODAYSOFF, SMDcrew)

ーまずはバンドの沿革などお願いします。

KAI
自分が19歳くらいの時にパンクやハードコアのライブに行き始めたのですが、他人のライブを見ているとステージに立ちたい気持ちが強くなりムズムズしていたんです。ライブは1人で行くことが最初は多かったのですが、その頃に今サポートで叩いているヒデタと出会ったりして、少しずつ同年代の友だちが増えていきました。
最初はパンクバンドがやりたかったのですが、周りの人やハードコアのライブを通じて次第に感化されるようになり、メンバーも集まった2010年頃に最初はスタジオでジャムるような形でスタートした感じです。初ライブは2011年でしたが、オリジナルメンバーは僕だけになります。
最初は近い先輩が沢山いたメロディックパンクやオールドスクールハードコアのイベントなどに出ることが多かったです。最初に共演した海外のバンドは2011年のSUBZERO(※NYのハードコアバンド)でした。バンドの夜明けとしてはそんな感じになります。

ーNUMBERNINEというバンド名の由来は?

KAI
いわゆるハードコアバンドぽくない、60年代や70年代のロックバンドのようなイメージでつけました。ワザと名前だけではハードコアのバンドと分からないようにしましたね。さっきの話の続きでいえば2012年に1曲入りのデモを出して、その頃から徐々に海外バンドのサポートや名古屋や東京への遠征が増え出しました。今はHOLLOW SUNS(※東京のオルタナティブ・ロックバンド)でベースを弾いているTKさんがギターで加入して曲作りも進んだ2013年に3曲入りのデモ、そのあと今のギターであるSakaiくんが加入して2015年にまた3曲入りのデモを発売。その前後くらいになると東京のBLOODAXE FESTや大阪のSUMMER BASH FESTなど、大きなハードコアフェスにも次第に呼ばれるようになりました。最近復活したイギリスのDESOLATEDとのツアーなどもその頃でしたね。風邪ひいて喉ガラガラでいい感じに歪んだ声になった覚えがあります(苦笑)。
そのあと少しメンバーが固定しなかったり僕も私生活が安定しなかったりで、普段のライブや海外バンドのサポートはやりつつも数年の間は活動が若干大人しくなっていたんですが、曲もたまってきたので今回のアルバムに向けてエンジンをかけ直した感じになります。今になって、ようやくスタート地点に立った気分ですね。

kai

ー結局Sakaiさんが入ったのは2015年くらいですか?その時に発売したデモではもうギター弾いていましたか?

Sakai
そうですね。僕は滋賀のANOTHER WEARというバンドでギターを弾いていたんですが、TKさんが抜ける前後に入った感じで。何本かのライブはツインギターでもやってます。2015年のデモはギターもベースも自分ですね。レコーディングはその年のBLOODAXE FESTの前くらいだったかなと。

ー今のメンバーになったのはいつ頃でしたか? サポートメンバーも多かったですよね?

KAI
かなり色んな人に手伝ってもらいましたね。ドラムはSAND(※大阪のハードコアバンド)のリョータさんやPALM/RUNNER(※ともに大阪のエクストリーム/ハードコアバンド)のケンタさん、ベースはBRAVE OUT(※大阪のハードコアバンド)の辻本や、ギターのタカサゴも弾いてくれたり。今のベースの班長が入ったのはいつ頃だったか……、STIR UP SHIT(※大阪のハードコアバンド)で弾いてた後なので2016〜2017年くらいかと。彼は10代から知ってる仲なんですけどね。

ー今はまたサポートとしてドラムに戻っているヒデタ(※BRAVE OUT, CYCOSIS, WRONG STATE, brightside booking)との最初の出会いはいつでしたか?

KAI
ロック系のDJイベントで、やたら外国人と英語で喋っているアメリカの少年みたいなのがいるなと思って。そこで気になって喋りかけた感じでした。そして気が合って遊ぶようになり、って感じですね。

ーKAIは元々パンクが好きだったと言っていましたが、最初に衝撃を受けたハードコアのライブは誰でしたか?

KAI
ALLIANCE TRAX(※東京のハードコアレーベル。海外バンドの招致やツアーも積極的に行っている)2010年のツアーで50 LIONS(※オーストラリアのハードコアバンド)を観た時ですかね。それまで大阪のハードコアバンドってイカつくてデカい兄さんがやってるビートダウンやヘビーなモノが多いイメージだったんですけど、所謂10年代のモダンなハードコアっていうのを初めてちゃんと観れた感じがあって。熱さはあるけど、どことなくスポーティーな感じとか、メンバーの見た目とかも悪ガキ感はあるけどシュッとしてるし、色々とカッコ良く見えました。50 LIONSとsplitを出してるDOWN TO NOTHINGや、TRAPPED UNDER ICE(※ともにアメリカのハードコアバンド)とか、そういったバンドですね。それは少なくとも大阪や関西にはない雰囲気だったので。

ー東京の方はやっぱり少し早かったんですけどね。CPK(※circle pit killers、東京のハードコアクルー)の周辺とか。関西はオールドスクールハードコア不毛の地と呼ばれたりもしましたが、そういう雰囲気が残っていたのかなと。風土というか。

KAI
そうですね。東京ではAS WE LET GOやINSIDEなど早かったと思います。なかなかその頃は関西にそういう雰囲気のバンドはいなかったと思いますね。

ー最初の方に仲良くなった関西のバンドは誰でしたか?

KAI
あまり同世代といえるバンドがいなかったんですよね。最初の頃はBLOODBALL(※京都/大阪のハードコアバンド。解散済)とかが対バンは多かったです。世代でいえば少し上にTIGER(※大阪のハードコアバンド)がいたりとか。逆に東京や名古屋のバンドが教えてくれることもありました。あとオールドスクールのシーンなどではslap the cultureやgordon ivy & the jaybardsといったバンド(※ともに大阪のハードコアバンド。解散済)にスタジオライブに誘ってもらったりとか。TKさんの繋がりでhopeless dewなど東京のメロディックなバンドとも仲良くなりました。BURNING SIGN(※京都のハードコアバンド)やRUNNER、SMDcrew(※大阪のハードコアクルー)のバンドとも徐々にという感じです。今のような環境でやれるようになったのはPALMや、火影(※大阪アメ村のライブハウス。PALMのVo.高橋氏が経営)といったハコの影響が強いです。とても感謝しています。

ーでは少し長くなりましたが今回のアルバムについて。曲のストック自体は結構あったんでしょうか?

Sakai
うーん、俺の中でそろそろアルバム目指せるかなというラインはKAIとも話してきてたんですが、そういう話になった後半に結構ポンポンとできた感じでしたね。

jkt

ー全体のボリューム感や流れとかは思い描いてたものなどあったんでしょうか? 以前と比べると曲のバラエティの広がり、タイムボム(※TIMEBOMB RECORDS。大阪のレコード店)のショウジさん(※大阪のハードコアバンド、SECOND TO NONEのGt.)のレビューでもありましたが、チャレンジングな姿勢も感じられたりして。そういった話も聞きたいです。

KAI
最初から全体像が見えていたわけではないんですが、出し惜しみしても仕方ないので今のレベルとして出せるものは全て出してみようと。コンセプトとしては曲が出来てきて後から考えたところもあったのですが、イントロからの実質1曲目となるsamsaraは夜明けのイメージで、そこから明るくなっていき段々と夜から深夜になっていって7曲目のSKIT、CHILLN’ GROOVEの頃にはもう朝方を迎えて、そこからB面にいくという。そういう時系列のようなものは考えました。

ー先行シングル的に出していた2曲(BURNED OUT, BLINDED BY THE LIGHT)を後半に持ってきた理由などはありますか?

Sakai
僕はあまり考えてなかったですね(笑)。

KAI
僕はありましたよ、samsaraと少しイントロや歌詞のコンセプトなども近いものがあったので少しそれは離した位置に置きたいなと。あとこれはたまたまだったんですが、SKIT明けの8〜10曲目は「B」から始まるタイトルの曲が並んでいるんです。なので「B面」というような感じで(笑)。あと最後のWATCH YOUR STEPは遊び心を加えた再録でボーナス的な。関係性の近い仲間たち、総勢12名のNUMBERNINE DUDESといった感じのマイクリレーになっています。僕は一個も歌っていません(笑)。僕的には女の子の声も欲しかったので、やってみたかったことではあります。

ーその辺りのところは感じるところもあって。どうしても男社会ジャスティスというか、上の世代の人たちには少し疎い感覚かなと思うのですが、気持ちの部分を聞いてみたくて。
KAI
男臭いイメージはもちろん僕も好きで、そういうタフなところに憧れたのも確かです。でも海外のライブの映像とかをよく見ていると、カッコいい女のお客さんも多いんですよね。それこそライブでもガッツリ暴れているような。それが日本のライブだと少ないなと感じていて。女性側も何か線を引いていた人も多いのかなと思ってしまったり。ライブに来る服装とかも、普段着の人が多かったりとか。色んな面で一歩引いちゃったりしているようにも見えるので、もっとバンドとかもやったら良いのにって思うんですが。それは日本の社会的なところも少し関係してるのかなぁと。

Sakai
EGH(※EVERYBODY GETS HURT。NYのハードコアバンド)にもいましたよね? 女のボーカルの人。WALLS OF JERICHO(※デトロイトのメタリックな女性Vo.のハードコアバンド)とかもいましたし。

ーそうそう、ジェシカっていう人で2003年にEGHが来日した時にはいましたよ。今は何故か女優になっているという(笑)。クラストのバンドなどは日本でも女性のバンドメンバーがいるのは珍しくなかったのですが、タフなハードコアの界隈では確かにあまり見なかったかもですね。乗り越えざるを得ないような壁が多かったのかなぁと。

KAI
そういった中で若い女の子が少しずつ増えている今の環境は大切にしたいなと思っています。

woman
photo by Takumag

ー今回のレコーディングはYORIさん(※atmosfear, she luv it, REDHOT STUDIO)がエンジニアですが、これは理由などありましたか?

KAI
今回はFURIOUS RECORDS(※大阪のハードコアレーベル。SANDのVo.MAKOTOが運営)からのリリースということもあったので、やっぱりスタジオはSANDのマコトさんが経営しているレッドホットで。そこでエンジニアもしていて、ハードコアのことをよく理解しているYORIさんにお願いするのは安心感もありましたし、自然な流れでした。

ーレコーディングではVISION OF FATIMA(※大阪/京都のカオティックハードコアバンド)のMITCHがドラムを叩いていますが、それはどういった経緯だったんでしょうか。

Sakai
そこは思い付きの部分も大きかったですね。何かのライブの時に火影の前で話していて、「やってくれる?」って言ったら即答くらいのノリだったので。

KAI
遊びのバンドを一緒にやろうかみたいな話をしていたこともあったので、結構スムーズに決まりました。基本的なテクニックもあるので、そこに関しては不安もなく。

ー彼自身のバンドではテクニカルな面が表に出ている面も強いですが、今回NUMBERNINEのテーマ的なものでもあるグルーヴィーな面であったり、押せ押せなハードコアの前のめり感とか、そういうタイム感も抜群だったので、意外でしたが良い人選だった気もしていて。

Sakai
直前くらいにCONVERGE(※ボストンのカオティックハードコアバンド)のコピー動画を見て安心しましたね。うん、上手い、大丈夫って(笑)。

ー今回、featuringのボーカルは誰がやっていますか?

KAI
WRONG STATE(※大阪のハードコアバンド)のタットと、あとはTEMPLE(※大阪のハードコアバンド)のマーシーと。マーシーはヘビーなメタルボーカルとしてとても力量があるので、コーラスの分厚さを出すのに協力してもらいました。彼にはMVも撮ってもらったりとか他にも色々と力になってもらっています。あとは先ほども言っていたWATCH YOUR STEPでのゲストボーカルですね。その中でボーカルはF.P(※京都のハードコアバンド)のジュンタロウやROAR(※大阪のハードコアバンド)のナツロー、will you remember(※東京のメロディックハードコアバンド)のカダなど。個人的にfeat.を推すのはあまり好きではないんですが、その分を最後の曲に詰めた感じでもあります。

ー次はアートワークの話です。色彩も含めインパクトある特徴的なジャケットになりましたが、担当したのはどんな方ですか?

KAI
MASUO KINYAさんという大阪の方で、仕事もクリエイティブなデザインなどの仕事をされています。GIVE(※アメリカのオルタナティブ・ハードコアバンド)というバンドのジャケットを手がけたりもしていて、最初の出会いは定かではないのですがライブにもよく来られている方で、先日もQUICKSAND(※アメリカのポスト・ハードコアバンド)の来日に一緒に行ったりしました。

give

とても気の良い優しいお兄さんという印象なんですが、やはり自分は好きなバンドでもあるGIVEのジャケットが衝撃的で。粘土で細かく丁寧に作り込まれたもので、一年半くらい制作にかかったと聞きました(汗)。そして大阪にこんな方がいるのかというのも驚きで、アルバムは絶対この人、このアーティストに描いてほしいと迷いなく決めていました。こちらからデザインのリクエストをしたわけではなく、曲を聴いてもらった上で間違いないジャケットを作ってくれたので、非常に満足しています。

ーアルバムのタイトル『LIVIN’ GROOVE』に関しては、直感的な感じもしつつ色んな想いがあるのかと思っていまして。そこに込めたものなどについてはいかがでしょうか。

KAI
ファンキーな感じを出したかったのと、バンドとして大切にしているグルーヴのところは勿論なのですが、シンプルで内容が伝わりやすく、なおかつ口に出したくなるようなイメージにしたかったのがあります。あとは音のグルーヴもそうなのですが、ライフサイクル的な意味合いもあって。歌詞のコンセプトなども重なりつつの諸行無常というか。ありがちなハードコアバンドっぽくならないようには色々と意識しました。僕なりの徒然草みたいな感じですね(笑)。

ー影響を受けたバンド、などと重なるかもしれませんが意識したサウンド面についてはどうでしょうか?

Sakai
TKさん時代の曲作りやギターのフレット運びなどには影響を受けつつ、彼はメロディックパンク畑感のあるコードやフレーズを押してくる面もありましたが、自分はメタルも通ってたりするので、そういった部分も加えるような意識で作っています。あと現行のハードコアに関してはKAIと聴いているものがほぼ同じなので、NO WARNING(※カナダのハードコアバンド)などベースになるものは大きいです。

ー現行のハードコアは勿論ですが、アルバム名も含めて90’sのパワーグルーヴやヘビーグルーヴ的なところなどは意識しましたか?

KAI
そこはearly 90’s的な……。

Sakai
実はそんなに強く意識していなくて、よく言われがちなLEEWAY(※NYのハードコアバンド)などもそこまで聴きこんでないんですよ。ザックリした空気感だけ捉えて影響をコントロールしつつ、後は自分の中から出るリフを大事にしました。最終的に俺は出来上がりはボーカルで決まると思っていたので、曲のバラエティは良い意味でバラついた作品になりながら、そこの予感が見事に的中したという実感があります。

ー聴き込みすぎると似てしまうっていうのはありがちな話ですもんね。

KAI
逆に知らなくて似てしまうっていうのはダサくなる原因の一つだと思うので(苦笑)。

Sakai
狙った展開とかになりがちなところでも、変テコまではいかずに違和感のあるツギハギにならないように…齟齬のないようなところというか。

ーフロアやモッシュピットを意識したような、俯瞰的な視点とかは曲作りの際にあったりしますか?

Sakai
狙ったモッシュパートとか、リフがモッシーがどうかというよりは、キャッチーな部分であったり楽曲としてしっかりと成り立っているかの方が強く意識していますね。

KAI
バンドのカラーで言っても、目的としてそんなにモッシュを誘発させようとするスタイルでもないので。自然に起きる分にはもちろん歓迎ですが、曲を知ってる人がより楽しめる感じにしたいなと。

side_all
photo by Takumag

ーこのサウンドの話からのKAIのボーカルについて聞きたいのですが、今回の作品ではメロディーを歌うパートが少し増えたり、シャウト一辺倒ではなく変化をつけた部分が良いアクセントやフックになっている印象があります。その辺り、意識したところなどはあるのでしょうか?

KAI
Sakaiくんが作ってきてくれたギターのリフに自然と乗せたところも大きくて。特別意識してメロディーを取り入れようとしたわけではないのですが、ボーカルとして変化をつけた方がやっていても面白いというのがあります。シャウトだけだと簡単ですし、まぁ勿論それだけで硬派にカッコいいバンドもいますが。

ーサビを歌い上げる、というのとは違いますもんね(笑)。全体のバランス感的にも。

KAI
そうですね。それが出来る人もいますが、ライブで再現するのも難しいですし。今回は自分が楽しむために、大げさになりすぎない程度に色々とやりたい気持ちが出た感じです。あえてバンド名を出すならLEEWAYもそうですし、MAXIMUM PENALTYなどチャレンジ精神を感じたNYHCのバンドは影響を受けましたし、個人的にハマったところでもあります。これからも表現の幅は広げていきたいなと思っていますね。あとは思いついたフレーズとか文章とか……。

ー韻の踏み方とかは意識していますか?

KAI
そこはかなり意識しています。日本のバンドと海外のバンドの大きな違いだと思っているので。英語がわからない頃から思っていたのですが、海外と日本のバンドで同じ英語なのに何故こんなにノリの違いがあるのだろうと。そこで気付いたのが韻だったんですよね。海外のバンドはハードコアでもほぼ必ずと言って良いほど韻をちゃんと踏んでいて。
NUMBERNINEを聴いて、よく海外ぽいと言われたりもするのですが、理由の一つには少なからずそれがあると思っています。なるべく歌詞の意味や内容もナチュラルに伝わるように……。韻とどちらを先に意識して作るかなど、とても難しいところなのですが努力したところでもあります。

ー今回のアルバムはハードコア以外のシーンやお客さんにもアピールできるようなキャッチーさを感じましたし、この曲数がまとまった音源は良い名刺にもなると思いましたが、いま活動の幅を広げてみたいとかそういう気持ちはありますか?

KAI
昔からポップパンクのライブには呼んでもらうこともありましたし、メロディックのバンドと一緒にやることなどもありますが、基本的には変えることはないと思います。僕自身もそこまで幅広く他のジャンルを聴いたり関心をもっているわけではないので。インディーロックとかは好きですけどね。でもライブのMCとか寄せるつもりもないですし(笑)。

Sakai
やるだけやって次呼ばれないとかも切ないですしね(笑)。

KAI
もちろん自分たちがキッカケになってくれたら嬉しいですし。間口として広げたい気持ちもあります。でもどこまでいっても有線でパワープッシュとか、街頭ビジョンで流れたりとか、中々ないでしょうしね。でも、当然クローズマインドではないですし、色んなバンドとやりたいとは思っています。ただあくまでハードコアのバンドとしてブレずに活動していこうと。そういう感じですね。

ーKAIはアメリカに行くことも多いですが。ハードコアのシーンにおいて大きく違うなと思うことはありますか?

KAI
まず色々と規模が大きいというのもあるのですが、新陳代謝のサイクルがとても早いです。数年単位で新しく人気のあるバンドがどんどん出てくる。向こうでは2010年くらいのバンドでもオールドなバンドと言われたりします。でも大きなフェスになると、ベテランのバンドも新しいバンドも隔てなく出演して盛り上がるというのも凄いと思っていて。一概に日本と比べられない部分もありますが。そして先ほどの話とも繋がりますが、女性が目立って多いです。女の人だけのバンドもいますし、めちゃくちゃシンガロングするクルーみたいなのもいたり。女性だけの話ではないですが、とにかくシーンが活発に見えます。
あとは日本の方がバンドやシーンに対して忠誠心というか、バンドを長く応援したりサポートしたりとか、愛着が強いのかなと。アメリカは良くも悪くもラフですね。カジュアルな感じがします。バンドもサッと組んだりしますし、ライブも好きなバンドをいくつか見たら後は外で喋ったり帰ったりとか。NUMBERNINEではそういうノリの違いの間を突いていきたいなとも思っています。

ーなるほどなるほど。そのラフさ加減は確かにこっちでは中々見られないところかもしれないですね。ライブの違いなどはどうですか?

KAI
お客さんのシンガロングがとにかく凄いです。英語が話せない人の多い日本では仕方ないかもしれませんが、向こうは本当にお客さん皆んなの声の大きさが凄まじくて。こないだのHAVE HEART(※ボストンのハードコアバンド。先日の復活ライブには約9000人が詰めかけたことでも話題)の復活は度肝を抜かれましたね。

haveheart
photo by Spencer Chamberlain

ーそこまでの盛り上がりには何か特別な理由があるように思いますか?

KAI
世界的に熱が高まっている空気感は感じます。インターネットの時代になって凄い熱量のライブなどがシェア文化によって拡散されたりとか。少し話が違うかもしれませんが、バンドがアウトプットするデザインの洗練された感じなども、若い人が関心を持つことに拍車をかけてたりもすると思います。勿論バンドがカッコ良いというのは前提ですが、僕が先日行ったSOUND&FURY(※現行のハードコアバンドが多数出演するLAのハードコアフェス)などもチケットが即完していたり、KNOCKED LOOSE(※ケンタッキーのハードコアバンド)がビルボードにチャートインしたり。海外でも話題になってますよ、ハードコアで何か凄いことが起こってない?って。外国人の友だちとかにも聞かれたりしますし。90年代が凄かったかもしれませんが、今になって超える盛り上がりになるかもしれないなと。だからストリートにいるようなスケーターなどもそうですし、今アンテナを立てている人でハードコアに興味を持っている人は先見の明があるかもしれないですよ! オーリー読者の皆さん!(笑)。

ーあはは(笑)。今の話と繋がるところかなと思いますが、最近のストリーミングサービスについてなどはどうですか? 若い人たちの音楽のタッチポイントとしては確実に大きなものになっていると思いますが。

KAI
思うところ沢山ありますよ。日本のバンドやアーティストはレーベルやCD会社の意向とか色々あったりしますが、海外では発売日に全曲解禁とか普通のことになってるので。ハードコアでいえばやはりライブが1番の魅力だと思ってますし、そこへの入り口は作りたいなと。

若い子は良いと思ったものをSNSでシェアしたりとか、そういう意識は特に強いと感じますし、それが色んなサポートの形を産むと思っているので。そういった部分は自分たちは出し惜しみしたくないなと。ライブに来ること自体もそうですし、マーチを買ったりとか、全てが通じてますし、キッカケは沢山あった方が良いんじゃないかと。

ー自分もまだまだハードコアの魅力に触れてもらってないだけだという風にも思っていて。野球に良い人材が来なくなってるとか、そういうのと近いのもあるかもしれないですが、何かタッチポイントがないとイケてる子たちがどんどん他のものに関心がいってしまうのも当たり前だとも思いますし。そういったところはNUMBERNINEのようなバンドに胸張って切り拓いてもらいたいなと。

Sakai
さっきも言っていた他のシーンと一緒にやるとかいう話にも繋がると思いますね。

KAI
ハマる人が限られてる音楽だとは思いますが、とにかくライブに足を運んでほしいなと思いますね。この音楽にハマる人はイケてると思ってますんで。

ーどこまでいってもリスニングミュージックではないですからね。ライブでの体験とか、そういったものとオーバーラップして楽しめる音楽だと思いますし。ポップスに慣れた耳で、予備知識なく聴いたら只のノイズに聴こえてしまうのも仕方ない気もするので。そういったことも踏まえて、最後になりますが今後の活動についてはいかがでしょうか。
KAI
人が徐々に増えてるとも思いますし、僕は何よりハードコア、音楽、カルチャーが好きですから、その魅力に気付いてくれる人が1人でも増えてほしいなと思います。その気持ちに嘘はないですし、そこに対する自信もあるので。そのためのアウトプットの方法や今後の活動・ライブに関してなども、このインタビューで話してきたことは全て繋がっています。

最後にメッセージ的なところでいえば、このインタビューが出る頃にはMVが発表されてると思いますが『FLOWERS IN THE BASEMENT』という曲を通じて、輝くべき人にちゃんと輝いてほしい、その輝かせるための土台を作らなければという思いがあって。若い人だったり、女性だったりに向けた曲でありメッセージでもあります。それを強い想いで続けていきたいです。

[NUMBERNINE]
drum
photo by Sanotsu

Buy Album
https://www.afterbase.com/?mode=srh&cid=&keyword=NUMBERNINE
Apple Music
https://music.apple.com/jp/album/livin-groove/1479557897
Spotify
https://open.spotify.com/album/6sdyPeTnsyLElgXCO2ziR6?si=Pwbcsk0AQQqT8cqiB6-EPQ
Band Info
http://furious.jp/numbernine/
Twitter
https://twitter.com/numberninedudes
Instagram
https://www.instagram.com/numberninedudes/
Bandcamp
https://numberninehc.bandcamp.com/

TAG:
MUSIC

SNS: